タイポグラフィ
並ぶお店や道のサインのタイポがなんだかいい感じ。そしてどれも同じテイストだ。
アラブ系の人が多く住むことから地元の人からアラブタウンとも呼ばれる
北の港町を歩いているとそんなことに気がついた。
そして、Anithaが教えてくれた。「この街のサインは全部2人のサイン職人のものよ。でも、ふたりとももう亡くなってしまったの。」
後継者はおらず、今は誰もサインを描く人は街にいないらしい。亡くなったのは2、3年前のこと。なんと....是非会いたかった。彼の描くタイポはほとんどがSans Serifタイプ(文字に足が無いモダンな種類のもの)でシンプルだがシャドウで一色使っていて少し立体感を出している。一見どれも似ているように思えるが、色の組み合わせは全て違うし、文字の詰め方やタイポも微妙に異なる。
赤色が多いのは、単純に「人の注意を集める色だから」だ。写真だと分かりにくいがこの「赤色」ひとつとっても微妙に異なるのだ。もちろん赤以外のデザインのものもある。
この丸っこいのは珍しい。何十件と見た中で未だ2つしか見ていない。因みに”UNGU”の意味は
“PURPLE” そのまんまやんって感じ、非常にシンプルだ。
タイポも面白いが、実は知るとお店の名前も面白い。印象的だったのはこれ。
全てのサインに書いてある”TOKO” は “SHOP” の意味だ。そして ”MERDEKA” これは ”FREEDOM” という意味だ。この名前はインドネシア独立後に非常に流行った名前らしい。そう、長くオランダからの植民地だったこの地が、自分たちの一つの国家として独立したその時、国民は皆で ”FREEDOM” を店の名として刻んだのだ。
名前だけでは無い。このアラブタウンの店や住居の多くは未だ植民地時代の建物が多く使われている。一番の特徴は屋根だ。赤瓦の三角屋根のもの。これは今のオランダでも多く見られる。また土地面積が狭く背が高いのだったり、窓が多いとか、窓格子のパターンが凝っていたりだとか...。この窓格子のパターンも非常に面白い。
建築に関しては後日また紹介したい。
北エリアは非常にユニークだ。西のニュータウンで生活しているので、そこから移動してくるとそのユニークさが本当に面白い。
そして、改めて非常に有難い状況にいると痛感する。
Danisやスタジオの皆からはNEW SURABAYAを教えてもらい、AnithaからTRADITIONAL AND HITROEICAL SURABAYAを見せてもらっている。
もっと言うと、最上部と最下部を見ている。お家というよりパレスと呼びたい豪邸も見ているし、コロニアル時代の残骸とも言えるような建物をツギハギでしのいで暮らしているのも見た。
バイクで30分の距離に、この両サイドがある。そして、一方で暮らす人々はそのまた一方とは交わら無い。ジャカルタや他の都市に住むインドネシア人が「スラバヤから来た人」と聞くと「ああ、じゃあ超金持ちか超貧乏かなんだな」とイメージするらしい。長い長い年月の間に港からたくさんの人が入り、新しく町をつくり、産業を営み暮らしてきた。
その歴史の上にたつ現在のスラバヤは、よそ者の私から見るととてもカオスだ。カオスなんだが、実際に暮らしている人たちは交わら無いからそれはカオスでないように見える。きちんきちんと、生きる場所が分かれているのだから。
よそ者の私はこのカオスを感じられて非常におもしろい。この機会を得られたのは2人の友人のおかげである。双方への感謝を忘れず、双方からよく学びたい。
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